ちぐはぐパッチワーク

スローで楽しい日々の暮らし。

かつて、この家には猫がいた

私は猫が好きです。外で野良猫を見かけると「はわわわわー!」と興奮に満ちた謎の声を漏らしてしゃがみこみ、満面の笑顔で「何してるの?」と話し掛けていますが、まあ大抵の場合はそっぽを向かれます。でもいいんです。「遭遇した」という事実だけでも、猫は私を十分幸せな気持ちにさせてくれるから。猫ってすごい。

 

 

今日、リビングから外を眺めていたら、庭の向こう側の脇道に猫がいるのを発見。てくてく歩いていたところ、私の視線に気付いたようで、ふと足を止めてこちらをじっと見てきた。ちょっとUターンして庭先まで入ってくる。警戒しているでも威嚇しているでもなく、どことなく何かを求めているような表情。なんだろう、ごはん欲しいのかな?でも、おなかが空いて切羽詰まっているという雰囲気でもないよなぁ。

 

 

あ、そういえば。ちょっと思い当たるフシがあった。

 

 

先日、通院のためにタクシーに乗った。運転手さんに家の住所を告げると、「ああ、元サイトウさんの家だね。猫たくさん飼ってたんだよね。」と言われたのだった。

 

 

我が家は賃貸。仲介してくれた不動産屋さんから、元々は大家さんが別荘として使っていた物件であること、直近の前住人(借主)はご夫婦ふたりで、わりと長い期間住んでいたことと、2か月前に退居されたということは聞いていた。大家さんの名前はサイトウさんではない。ということは、サイトウさんというのは前に住んでいたご夫婦のことなのだろうか。

 

 

この家はネットの不動産検索サイトで見つけた物件でした。地図で見る限りは家の前の道幅が狭そうで、引っ越し屋さんの大きいトラックが入るのか心配になり、googleマップのストリートビューでその場所に飛んでみた。すると、その道の片隅に、ふわふわした茶色のかたまり3コと白のかたまりが2コ、びよーんと伸びた状態で写っていたのです。撮影のタイミングのせいでびよーんと伸びちゃってるけど、たぶん猫。まさかの不意打ちに思わず吹き出す私。ストリートビューの画像は10年前に撮影されたものでした。すぐさま隣にいたおじさんに「ねえねえ、この家見に行ってみない?今はどうか分からないけど、近所に猫がいっぱいいるみたいだよ!楽しそう!」と提案したのでありました。

 

 

実際に内見に訪れた時、猫たちはいませんでした。まあ野良猫なんて、そう都合良く遭遇できるものでもないので仕方ありません。特に飼いたいと思っていたわけではないけれど、念のため不動産屋さんに「ペット飼えますか?」と聞いてみる。「ごめんなさい、ここはペット不可なんです。」とのお返事。ですよね、うん。ペット可の物件ってなかなかないし。部屋の中はクリーニングが入る前にもかかわらず、壁紙も床も比較的キレイな状態。猫が飼われていたような形跡はありませんでした。

 

 

これらのことから推測するに、前住人のサイトウさん夫妻は猫好きで、だけど契約上は飼えないから、庭先で近所の野良猫たちにごはんをあげたり遊んでいたりしていたのではないだろうか。タクシーの運転手さんの証言を考えると、もしかしたら、たまーにこっそり家の中に入れていたかもしれない。

 

 

今私と目を合わせているこの猫は、かつてサイトウさん夫妻がかわいがっていた猫なんじゃないかな。サイトウさんじゃない人間が家の中にいるのを見て、「あれあれ?アンタ誰??」ってなってるのかも。サイトウさんじゃなくてごめんよ。しかも今は足骨折してるから遊んであげられないんだよう。。。この猫は人懐っこそうなのに、うう、なんてもどかしいんだ。

 

 

しばらく無言でアイコンタクトを交わした後、進展はなさそうと諦めたのか、猫はさっきまで歩いていた脇道に戻っていった。また来てくれるかな。いや、絶対来てほしい。となれば、まずはこの骨折を早く完治させねば。庭先で猫と戯れる未来の自分を想像し、全力で回復に努めようと決意を新たにした私なのでありました。